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海外支援活動⑤:与える支援から、共に育てる支援へ

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パラオでの診療が終盤に差し掛かってきた頃、改めて考えるようになったことがあります。

それが 「支援とは何か」 というテーマでした。

今回のPansy Projectの活動は、もちろんボランティアです。

しかし、実際に現地で働いていると、「ただ与える支援」では足りないし、むしろ場合によっては、迷惑にすらなるという現実が見えてきました。

この最終回では、パラオで私が感じた“支援の本質”について書いてみたいと思います。
 


■ パラオには“壊れたままの機器”がたくさんあった

診療室に入った初日、設備を見て最初に驚いたのは、

新品に近い機器と、壊れたままの機器が混在しているということでした。
 

例えば、

  • パノラマレントゲンは故障したまま数年放置

  • 咬合器や器具の一部は開封すらされていない

  • コンプレッサーの圧力が安定せず、ユニットが止まることがある

  • バーは折れやすく、種類もほとんど無い

  • 使い方が分からないまま棚の奥に眠っている器材もちらほら
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これらは全て「寄贈品」なのだそうです。
 

けれども、誰もメンテナンスできない。

使い方を学べなかった。

部品の交換手段もない。
 

その結果、

“役に立つはずの機器が、ただ場所を取るだけの存在になる”
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という状況が生まれていました。
 

これはパラオだけの話ではなく、

東南アジアや島嶼国ではよく起こる問題です。
 

善意で送った医療機器が、
現地の医療体制に合わず「死蔵」してしまうことは珍しくありません。


■ 医療支援は、“渡すこと”より“使えるようにすること”が大事
 

こうした機器を見ていて感じたのは、

支援は渡すことがゴールではないということです。

 

本当に必要なのは、

  • 使いこなせるように教育すること

  • 修理が必要になったとき相談できる体制

  • 部品調達を含めた維持管理のしくみ

  • 現地スタッフが継続して扱えるレベルの設備を選ぶこと

これらの“運用のサイクル”です。
 

言い換えると、
 

支援=機器の寄贈ではなく、

 “持続的に運用できる環境”を一緒につくること

 

この視点が抜け落ちると、

どれだけ高性能な機器があっても、結局使えなくなってしまう。
 

パラオの診療室で、それを強烈に実感しました。


■ 現地スタッフは本当に頑張っている
 

パラオで一緒に働いた歯科衛生士さん、助手さん、技工士さん。

皆、設備の不足や環境の厳しさにめげず、本当に前向きに働いています。
 

  • 患者さんとの距離が近い

  • とにかく優しい

  • 困ったときはすぐ助け合う

  • お互いに感謝を伝え合う文化がある
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こういう空気の中で一緒に診療できたのは大きな経験でした。
 

そして、一番印象的だったのは、

「学びたい」という気持ちがとても強いことです。
 

ある若い歯科衛生士さんは、こう話してくれました。

「日本で働けたらいいな。技術を学びたい。
あなたたちの診療がすごく丁寧で、私たちもそうなりたい。」

こうした“学びたい気持ち”がある場所に、

技術を押しつける支援は必要ありません。
 

必要なのは、

共に学ぶ関係です。


■ “与える支援”は続かない
  “共に育つ支援”だけが続く
 

支援の形には2つあると思います。

✖ 「与える支援」

  • 機器を送る

  • 道具を渡す

  • 一回きりの活動で終わる

  • 相手の吸収力や体制を考えない
     

これは短期的には役立つように見えて、

長期的にはほとんど意味を持ちません。
 

◎ 「共に育つ支援」

  • 使いこなせるレベルのものを共有する

  • 手に入る材料でできる治療を教える

  • 現地スタッフと一緒に診療し、手を動かす

  • 継続できる予防体制を作る

  • 定期的に戻って改善し続ける

これは時間がかかりますが、

国と国、人と人の“持続的な関係”をつくる支援です。
 

今回のパラオでの活動は、まさに後者でした。
 

「また来てね」「続けてほしい」という声も多く、
プロジェクトの持つ“継続性”の価値を強く感じました。


■ フッ素洗口はパラオに必要な武器になる
 

今回、学校でのフッ化物洗口指導にも今回のプロジェクトでは、先生方が頑張ってました。
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これが、現地の予防体制を変える大きな可能性があります。
 

パラオは砂糖の摂取量が多く、甘い飲み物が安く手に入るので、
虫歯リスクは日本以上に高い。
 

その一方で歯科医院は少なく、
予防指導に割ける人材もほとんどいません。
 

だからこそ、

「自分たちでできる予防」=フッ化物洗口
は非常に重要です。
 

現地の子どもたちも、とても素直で楽しくすすめていたとのことでした。
 

1回の治療では歯は守れないけれど、
1年続ければ確実に未来の虫歯は減る
 

これこそが“共に育つ支援”です。


■ ボランティアは“自己満足”にしてはいけない

良い機器を渡したい。
高い技術を見せたい。
 

こういった気持ちは、どうしても生まれます。

でもそれは、時に「自己満足」になってしまう。
 

今回、実際に現地に立って思ったのは、

“自分がやりたいからやる支援”は続かない。
“相手に必要な支援を一緒に考えること”が本物の支援になる。

ということでした。
 

寄り添って、対話して、一緒に考えて。

そうすれば、支援は“与える側と受ける側”という構造から抜け出し、

“共に成長する関係”に変わっていきます。


■ 最後に ― 医院理念とパラオでの気づき
 

WADA DENTAL CLINIC の理念は、

『思いに寄り添い、診療を丁寧に、1本の歯を通じて生涯を上質へ』

です。
 

パラオでの経験は、この理念の意味をより深く理解させてくれました。

  • 寄り添うこと

  • シンプルな治療の価値

  • 患者の生活背景を知ること

  • 無理に“正しい医療”を押しつけないこと

  • 続く支援を作ること

これらすべてが、理念とつながっている。
 

日本での診療にも、必ず還元される経験だと思っています。
これから見つめなおし、研鑽し、考え、行動し、また色々と変わることができたら、また歯科医師としての原点を求めにパラオのプロジェクトに参加したいと思います。

今回は、様々な方の支援でこのプロジェクトで参加することができ感謝しております。
ありがとうございました。

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2026年01月07日 22:55

WADA DENTAL CLINIC


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