なぜ歯周病の治療で歯がしみるのか?
なぜ歯周治療で歯がしみるのか?
― セメント質という大切な組織の話 ―
歯周病の治療を受けたあと、
「歯がしみるようになった」
と感じたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
これは決して珍しいことではありませんし、自分が歯科医師になった20年前にはそのように説明するように教わりました。
そして、その理由には 歯の構造が関係しています。
歯の根っこはとてもデリケート
歯の根の表面には
セメント質という組織があります。
このセメント質は、
・歯を骨に固定する
・歯根膜という組織を支える
・歯周組織の治癒の土台になる
という、とても重要な役割を持っています。
しかし実はこのセメント質、
驚くほど薄い組織です。
歯の根元では
**約20〜30μm(ミクロン)**ほどしかありません。
髪の毛よりも薄いくらいの厚みです。
歯周病治療では歯石を除去する
歯周病の治療では、
スケーリング・ルートプレーニング(SRP)
という処置を行います。
これは
・歯石を除去する
・細菌を減らす
・歯周ポケットを改善する
という、歯周病治療の基本となる処置です。
ただしここで一つ問題があります。
歯石を取るとき、
歯の根の表面にも触れるため、
セメント質が一部削れてしまうことがあります。
セメント質が減ると起きること
セメント質の下には
象牙質という組織があります。
象牙質には
神経へつながる細い管(象牙細管)があり、
ここが露出すると刺激が伝わりやすくなります。
その結果
・冷たいものがしみる
・歯ブラシでしみる
・風でしみる
といった 知覚過敏が起こることがあります。
昔と今で変わってきた歯周治療
以前の歯周治療では、
「感染したセメント質は削り取る」
という考え方が主流でした。
しかし現在の研究では
・細菌毒素はセメント質内部まで深く浸透していない
・必要以上に削る必要はない
ということが分かってきています。
そのため現在では
できるだけセメント質を残す
という考え方が重要になっています。
歯を守る歯周治療へ
歯周病の世界では、ここ20〜30年で哲学が変わりました。
昔は「徹底的に悪いものを削る」、から現在は「組織を守る」ことを様々な治療において変わってきました。
この変化は、北欧の歯周病研究(スカンジナビアペリオ)が大きく影響してきています。
歯周治療は
「削る治療」ではなく
**「守る治療」**へと変わってきています。
WADA DENTAL CLINICでも
・スカンジナビア(北欧)型歯周治療
・インフェクションコントロール
・予防中心の歯科医療
をベースに、
歯の組織をできるだけ守る治療
を大切にしています。

最後に
歯周治療後にしみることはありますが、
多くの場合は時間とともに落ち着いていきます。
もし気になる症状があれば、
遠慮なくご相談ください。
歯を長く使うためには、
歯周病をコントロールすることがとても大切です。
これからも
「歯を残すための治療」を
スタッフみんなで学びながら進めていきます。


